Special Happiness
カーテンの隙間から差し込む朝日のまぶしさに、眠りから覚める。
まどろみながら寝返りを打てば、隣にはいとしい人の寝顔。
「・・・おはよ。」
いまだ夢から覚めそうにない恋人に、静かに囁いてみる。
もちろん返事なんかなくて、かわりにすーすーと規則正しい寝息が返ってくる。
気持ちよさそうに眠るその顔を見るのがあたしのささやかなしあわせ。
生意気な言葉を吐く口も
夢を見据える大きな瞳も
今この時だけは面影すら見当たらない。
天使の寝顔・・・なんて、それはちょっと言いすぎかな。
でも、
リョーマがこんな無防備な顔を見せるのはあたしの前だけだって
少しだけうぬぼれてもいいよね?
整った顔立ち。
長い睫毛も
閉じられた瞳も
やわらかくてさらさらな髪も
今だけはぜんぶあたしだけのもの。
たまらなくなって、頬にキスをする。
「・・・ん・・っ・・。」
静かにゆっくりと、リョーマの瞳が開かれた。
「あ、起きた?おはよ。」
「お・・・はよ。」
少し掠れたリョーマの声。
この声を聞けるのも、あたしだけ。
「だいすき。」
「・・・な・・に。朝から・・・。」
「しあわせだなぁって思って。」
「・・・んだよ。意味わかんない・・・。つか、アンタ早く起きすぎ・・・。」
そう言うと、リョーマは自分の胸にグッとあたしを引き寄せた。
「もう少し寝てよ・・・?」
耳元で囁かれて、あったかさが身体中を包みこむ。
しあわせすぎてこれが夢なのか現実なのかも分からなくなっちゃいそうだ。
もし夢だと言うのならいっそ醒めなきゃいいのに。
そんなことを思いながら、リョーマの腕の中で二度目の眠りについた。
Fin...
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2007.12.14〜