Happy Birthday Dear... [Ryoma Ver.]
彼女の誕生日。
喜ぶ顔が見たくて、何ヶ月も前から何をプレゼントしようか考えて。
だけど女の子が欲しいものなんて、俺には考えても考えても分からなくて。
悩んだ末、恥とプライドを捨てて桃先輩に相談した。
「女の子が喜ぶプレゼントー!?
そんなのおまえの気持ちがこもってりゃ何でもうれしいんじゃねーのか?
でもどうしてもって言うんならなー。
好きなヤツにコレもらって喜ばない女の子はいねーな。いねーよ。」
アドバイスを鵜呑みにして行ったのは、男が一人で入るにはかなりの勇気を必要とするようなキラキラした店。
「彼女さんへのプレゼントですかー?」なんて、やけに高い声と張り付いた笑顔で聞いてくる店員をあしらいながら
彼女のために選んだバースデープレゼント。
「誕生日おめでとう。」
言いながら、ポケットから小さな箱を取り出す。
本当に喜んでくれるのか。
重すぎるって引かれないかな。
つか、これで喜んでもらえなかったら桃先輩を一生恨んでやる。
そんなことを考えながら、ゆっくりとラッピングを解く彼女を眺めていた。
「・・・っ!?リョーマっ・・・、これっ・・・!?」
目を丸くして驚く彼女の手の中にはきらりと輝く小さなシルバーリング。
「あんたに似合うと思って。」
「・・・ありがとう。うれしい。」
真新しいリングに負けないほど目をキラキラと輝かせてそう言った彼女は
小さな箱を俺に手渡し、左手を差し出した。
「リョーマがつけて?」
箱からリングを取り出すと、彼女の左手を取り、すらりと伸びた薬指にそっとはめる。
―――永遠の愛を誓う、そんな気分だ。
「ありがとう。すっごくうれしい。」
彼女はとびっきり綺麗な顔で笑った。
俺をしあわせにする、まるで天使の笑顔。
その顔が見たかったんだ。
「ねぇリョーマ?」
「ん?」
「誕生日だから、もうひとつだけわがまま言ってもいい?」
「なに?」
「ぎゅって抱きしめて、いっぱいキスして?」
なんだ、そんなの。
きみが望むなら、誕生日じゃなくたっていくらでも叶えてあげるのに。
「Yes」の代わりにニヤリと笑って。
俺は彼女を力いっぱい抱きしめた。
Fin...
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2008.02.23〜