Happy Birthday Dear...U [Ryoma]




 ―――ぎゅって抱きしめて、いっぱいキスして?

仰せのとおりに。


彼女を抱きしめたまま髪にひとつキスを落として。
額に、瞼に、鼻に、頬に、耳に。
優しく優しくキスをする。

瞼を開いた彼女と息が溶け合う距離で目が合うと、お互いに微笑んで。
それが合図となって、そっと唇を重ねる。

触れるだけのやさしいキス。

何度か繰り返すうちに、深い口づけへとかわって。
漏れる吐息ごと彼女を味わう。

苦しさに耐えかねたのを見計らって、唇を離すと。

今度は首筋へと唇を這わせて。

肩、鎖骨、首筋。
優しく優しく、キスを繰り返す。

胸、お腹、わき腹。
触れたことを証明するように、紅い跡が残る。

つま先、太股、内股。

そして―――。


漏れる吐息と、あまい香りに眩暈がして。

「・・・リョ・・マぁ・・・。」

かわいい声で求める彼女に頭の奥が痺れて。

軽く唇を重ねたのを合図に、俺たちはひとつになった。

隙間なんかできないように彼女の熱い身体を抱きしめて。
あまい声を響かせる唇に何度も何度もキスをして。

ふたりが溶け合う瞬間。
彼女の耳元で囁いた。


「Happy Birthday」



息を整えながら、ぐったりと横たわる彼女の左手を取って。
薬指に輝くリングにそっと唇を寄せた。

ピクリと身体が反応して。
優しく微笑みながら彼女は小さな声で囁いた。


 ―――永遠の愛を誓ったみたい、ね。



Fin...

*   *   *   *   *   *   *   *   *

2008.02.23〜