一度味を知ってしまったら、もうあとには退けない。
ハマって溺れて、一直線に堕ちていくだけ。


 ―ジャンキー。



何度身体を重ねても、満足なんかできない俺はおかしいのか?
知れば知るほど君にハマっていく。


じっと見つめれば、少し照れたように伏せられる瞳。
無防備にさらけ出された、果実のように赤い口唇。

その瞳が、その口唇が
俺を狂わす。

少し濡れた口唇に、口唇を重ねて
深い深いキスを。

「ん・・・っ・・・ふ・・・・。」

くちゅり、と舌を絡めて、少し苦しそうに漏れる吐息のすべてまでをも奪い取る。
真っ赤な果実なんかよりも、ずっと甘い。


存分に口内を堪能すると、今度は首元へと口唇を這わす。
真っ白な肌に、真っ赤に咲く俺のシルシを。

同時に服の裾から手を差し入れ下着越しに触れ
包むように手のひらで優しく刺激してやると、控えめに漏れる声。


白い肌、甘い声。
君に溺れる。


器用に服を脱がせて、プチンと下着の締め付けを外せば
露になった胸の突起にそっと舌を這わせる。


「やっ・・・あっ・・・んっ・・。」

舌先でころころと転がせば聞こえてくるさっきよりも高い声。
そのまま上目遣いで顔を覗き込めば、物足りなさそうに訴える君と視線が交わる。

「ん・・・っ・・リョ・・マぁ・・・・」

ねだるように俺を呼ぶ声とともに、腰がぴくりと動いた。
頬は赤く蒸気している。
何を望んでいるのか、分からないほど馬鹿じゃない。


「何?どうしてほしいの?」

それでも意地悪なセリフを吐くのは君が可愛いくて仕方ないから。
そうやって焦らされて、困った顔が見たいから。


「・・・やっ・・・イジワル・・・っ」

そう、その顔。
目頭にじんわり涙を溜めて、恥ずかしそうに俺を見つめるその瞳。
・・・たまらない。
そんな顔したって、俺のイタズラ心に火をつけるだけだよ?

「言ってくれなきゃ、分かんない。はどうして欲しいの?」

舌先と指で両方の胸の突起を転がしながら、真剣な顔を向ける。
きみがその顔で求めるなら、俺は何でもやってあげるよ?


「・・・んっ・・下も・・・さわ・・・って?」

仰せの通りに。
ニヤリと笑って、内腿に手を這わす。
そして、そのままさするように上へと手を滑らせた。

くちゅっ。

行き着いたそこは、じっとりと熱を持って
下着越しに触れただけで卑猥な音を立てる。
ニ、三度軽く指を往復させると、下着の隙間から手を滑り込ませた。

「っ・・!!・・・あっ・・・。」

軽く突起を擦ると
一際高い声と共に、彼女の身体がびくんと跳ねた。


「もう・・・グショグショじゃん。」


一度下着の中から手を引き抜くと、
ニヤリと笑みを浮かべながら濡れた指先を彼女の目の前で舐め取った。

「・・・ヤダ・・・ぁ・・。」

恥ずかしそうに目を伏せる。
だから、そんなの逆効果なんだって。
俺を煽るだけだってまだ分かんない?


「ほんとはヤじゃないくせに。」


一気に下着を剥ぎ取って、彼女のそこに顔を埋めると
むせ返るような甘い香りに、軽く眩暈を覚えた。


「あっ・・・やっ・・・んっ・・あぁっ・・あっ・・・。」

可愛く鳴く声を聴きながら
舌先で蜜を舐めとる。
掬っても掬ってもあふれてくるそれは、俺だけしか知らない味。

「すっげ・・・あまい・・・。」

くちゅくちゅと響く水音
脳裏を麻痺させるような甘い声と
眩暈をも覚えるような甘い香り。


「やっ・・あっ・・リョ・・マ・・、もう・・っ」

ホシイ。

少し掠れた声でささやくきみに
もう我慢できないのは俺の方。


手早くゴムを着けると。
そっと頭をなでて、ちゅっと口唇に軽いキスを落とす。


「いくよ・・・?」


入り口にあてがって、彼女の膝裏を抱えると
勢いよく突き立てた。


「ひゃっ・・やっ・・あっ・・あぁっ・・・んっ・・・」

腰の律動に合わせて響く声。
瞳を閉じて少し苦しそうに歪む顔。
俺を締め付ける身体。
五感すべてでを感じる。

いとおしくてたまらない。


「んっ・・あっ・・あぁ・・リョ・・マぁ・・・・」

縋るように俺の名前を呼び、手を差し伸べられる。


繋がっているのに、それでもまだ足りない。
何度身体を重ねても、幾度となく繋がったって満足なんかできない。
隙間なんかなくなるくらい、ひとつになれたらいいのに。
このままふたりでとけてしまえたらいいのに。


差し伸べられた手に、自分の手を重ねて。
何も考えられないほどに腰を打つスピードを上げる。


「あっ・・・はっ・・やっ・・・リョ・・マ・・・もう・・イク・・。」

「・・・俺も・・。」


波が押し寄せる。
甘い痺れが身体中を駆け巡る。


まるで、麻薬だ。


「んっ・・やっ・・あっ・・あぁっ・・・あああぁっ・・・」

「・・んっ・・くっ・・・。」


ハァハァと息を整えながら、彼女の上に覆い被さりギュッと身体を抱きしめる。
熱い体温が重なり合う。
果てた後の倦怠感さえ、こんなにも心地いい。



一度その味を知ってしまったら、もうあとには退けない。
ハマって溺れて、一直線に堕ちていくだけ。

知れば知るほど、欲しくなる。
求めれば求めるほど、クセになる。

甘い甘い誘惑を。


―僕は君に堕ちたジャンキー。



Fin...





*   *   *   *   *   *   *   *   *

久々の裏です。
ヒロインに溺れたちょっとSなリョーマを書きたかったのです。
読んでくださってありがとうございました!

2007.09.30