accidental victory
「リョーマ!!!」
バンっと大きな音を立てて、リョーマの部屋のドアを開ける。
「なっ・・に?」
突然ドアが開いたかと思うと、ハァハァと息を切らして部屋の前に立ち尽くすあたしを見て驚いたようにリョーマが声をあげた。
そのリョーマの左眼は痛々しく眼帯で覆われている。
「リョーマ・・・。目・・・、大丈夫!!?」
ベッドの上にあぐらをかいて座るリョーマに、慌てて駆け寄った。
「あぁ。もう平気。病院で手当てしてもらったし。すぐ治るって。」
ニッと笑って、リョーマは眼帯を外して見せた。
瞼の上には大きな傷。
リョーマは平気だと笑うけど、見るからに痛々しそうで胸がギュッと締め付けられた。
―数時間前。
地区予選決勝での試合。
テニス素人のあたしには何が起こっていたのかよく分からなかったけど、
どうやら相手の策にハマって折れてしまったラケットの破片がリョーマの顔に直撃して
彼は瞼に傷を負った。
ドクドクと流れ出る真っ赤な血。
それでも尚、リョーマは試合をやめなかった。
そして、左眼が見えない状態にもかかわらず勝利を勝ち取った。
あたしはと言うと、痛々しさに耐えられず試合から何度も目を背けてしまったけど。
「痛そう・・・。」
リョーマの綺麗な顔に深くえぐられた傷。
思わずあたしはリョーマの頭を抱きしめた。
「・・・っ!!?」
「もう!無茶なことしてっ!!ほんとに心配したんだからねっ!!リョーマの目が見えなくなったら・・・どうしようかと・・・思った・・・。」
身体中にリョーマの体温を感じて、急に張り詰めていたものが緩んだようにあたしは涙を流していた。
「ほんと・・・よかった・・・」
「心配かけて・・・ごめん。」
涙を流すあたしを見て、リョーマはめずらしく素直に謝った。
「うん・・・。・・っ!!?」
返事を聞くや否や、
リョーマの唇があたしの唇にふれた。
「・・・ん・・・っ・・」
最初は優しく触れただけの唇が、次第に角度を変えて何度も何度も降ってくる。
「・・・っ・・・リョ・・マっ・・・」
リョーマの舌があたしの口唇を割って、口内へ侵入し
そのまま舌を絡められ、口内を犯され、頭の奥がジンっと痺れそうになる。
肩を押されて、二人してベッドに倒れこんだ。
スルッとシャツの裾からリョーマの手が伸びてきて、下着越しに胸に触れる。
「リョ・・・マ・・・。ダ・・メだ・・・よ」
ジンジンと痺れかけた頭を必死で持ち直して、目の前のリョーマを拒んだ。
「今日は・・・ダメ・・・。だって・・・リョ・・マ、目・・。」
「もう平気だって言ったじゃん。」
「や・・だって・・。ケガした・・・ばっかり・・・。」
「大丈夫だよ。」
「ダ・・・メ・・だよ。」
「・・・。」
「今日く・・らい。安静に・・・して・・なきゃ・・・。」
「・・・分かった!」
あたしのシャツのボタンを外していたリョーマの手がパタリと止まった。
「へっ・・?」
めずらしく聞き分けのいいリョーマに、自分から拒んだくせに少しだけ拍子抜け。
「安静にしてるから、今日はあんたが俺にシて?」
「へっ?」
「怪我したばっかりだからってが言ったんだよ?
だから、俺は安静にしてるから。」
そう言ってリョーマはベッドにゴロンと転がった。
「・・・やっ!?何言って・・・」
「ほら、早く。
・・・シて?」
大きな瞳であたしの顔を覗き込む。
その顔が妙にかわいくて、
みつめられた瞳が吸い込まれそうなほど綺麗で。
激しいキスで飛ばされかけていた理性が、吹っ飛んだ。
「その顔、反則だよ・・・。」
そうつぶやくと、リョーマの口唇を塞いだ。
さっきリョーマがしてくれたみたいに、角度を変えて何度も口唇を重ね、
少し開いた口唇から舌を侵入させた。
クチュクチュと音を立てながら舌をからめる。
「・・・んっ・・。」
リョーマの口から漏れる吐息がますますあたしの理性を失わせた。
口唇を離すと、Tシャツに手を伸ばして優しく脱がし。
今度は首筋にそぉっと口唇を寄せると、そのまま下へと這わせていく。
胸の突起に行き着き、舌先でそれをペロリと舐めると
「・・・んっ・・。」
リョーマの口からまた吐息が漏れた。
「きもち・・・いい・・の・?」
舌先で突起を転がしながらたずねると
「・・う・・んっ・・。」
小さく答えるリョーマがとても愛しくて。
もっともっときもちよくさせてあげたくて、スウェットに手をかけた。
下着と一気に膝下まで降ろすと、目の前に大きくそそり立った彼自身。
一瞬、フッと恥ずかしくなり思わず目を背けると
「さわ・・って・・?」
リョーマが少しかすれた声で嘆願した。
そのセクシーな声に、またも理性がとびそうになる。
「その声・・・ズルイ・・。」
あたしは、彼のものを両手で優しく握った。
慣れない手つきで手を上下させる。
手の中でビクンと大きくなったのが分かった。
「うっ・・・」
リョーマの口から小さく声が響く。
もう少し早く手を動かすと、先端からトロリと蜜が漏れた。
あたしはそれを舌で掬うと、彼自身を口に含んだ。
「うっ・・・くぅっ・・・。」
口を上下に動かすと、リョーマの口から声が漏れる。
上目遣いに彼を見ると、少し苦しそうに顔を歪めていた。
「きもち・・いい・・?」
口に含んだまま、問う。
「うっ・・・口に・・入れ・・たまま・・しゃべん・・な・・・。」
愛撫に感じてくれているのがうれしくて、触られてもいないあたしの下半身がジンっと疼いた。
「くっ・・、も・・っ、一緒に・・・イキ・・たい。」
リョーマの声が聞こえるや否や、あたしは自分の下着を下ろし
彼のものを入り口にあてがった。
一度も触れられていないそこが、それでも濡れているのが自分でも分かった。
「いく・・よ?」
そう言うと、ゆっくりと腰を沈めた。
「あっ・・・。」
慣らされてもいないそこが、ズプズプと彼のものを飲み込んでいく。
「んっ・・・はっ・・・あ・・あっ・・はぁ・・ん・・。」
腰が沈みきると、リョーマの肩に手をついて夢中で腰を動かした。
イイトコロに彼自身が当たるよう、腰を振る。
グチュッグチュッ
繋がってるいるところから卑猥な音が漏れる。
「・・んっ・・や・・っ、はっ・・あっ・・あぁっ・・」
冷静に考えると顔から火が出そうなほど恥ずかしいことをしてるのに。
理性を失ったあたしはもう、快楽に委ねて腰を振ることしか考えられなかった。
「んっ・・あ・ん・・。リョ・・マぁ・・・」
ふとリョーマの顔を見つめると、
あたしを感じて閉じた瞳の上の傷が目に飛び込んできた。
痛々しくつけられた傷。
目にかかる前髪をふわりとかきあげて
その瞼に
あたしはそっとキスをした。
「・・・・っ・・!?」
突然降って来た口唇の感触に驚いて、リョーマは大きな瞳を開いた。
「痛そ・・っ・・だな・・って・・思っ・・て・・。
早・・く、治るよ・・に・・・おまじない・・っ。」
そう言って、あたしは微笑んで見せた。
「・・っ!?・・リョっ・・!!?」
ごろん、と
肩を押され、繋がったままリョーマとあたしの体勢が入れ替わった。
「そんな・・かわいいこと言われたら・・・、も・・おとなしくしてらんな・・いっ」
そう言うや否や、膝を抱えて深く深く突き上げられた。
「・・んっ・・あっ・・あ・・っ・あぁ・・っ・・やっ・・んっ・・」
快感の波が押し寄せてきて、身体の奥が、頭の芯が痺れる。
「・・あっ・・あ・・・あぁっ・・んっ・・リョ・・マっ・・。・・もっ・・イク・・。」
「くっ・・ん。いい・・よ。イっ・・て・・。俺も・・も・・・っ」
グチュッグチュッ
卑猥な水音を立て、腰の律動がさらに激しくなる。
あたしはリョーマの肩に手をまわして抱きつき、快感に身を委ねた。
「・・あっ・・あ・・ぁ・・。リョ・・マ・・。
・・あぁっ・・ああぁぁっ・・・。」
ビクンと身体を震わせ、達した。
「・・くっ・・・。・・うぅっ・・・。」
小さなうめき声をあげ、リョーマもあたしの中で果てた。
「ヤラしかったね、今日の。」
肩で息をするあたしに、ニヤリと笑いながらリョーマは言った。
「オレの上で喘ぎながら腰振ってんだもん。」
「っ!!!?」
あたしは顔を真っ赤にしてリョーマを睨んだ。
「ケガもたまにはしてみるもんだね。」
そう言いながら、リョーマは枕もとに転がる眼帯を取って目を覆う。
「今度ケガしたら、また、シて・・ね!」
そう言って、生意気な顔であたしの顔を覗き込んだ。
「・・っ!!?リョーマのばかっ!!もう絶対心配なんかしてやらないっ!!」
恥ずかしくて、悔しくて、そう叫んでリョーマから顔を背けながら
[リョーマの瞼の傷が早くよくなりますように・・・]
そう心の中で祈っていた。
Fin...
* * * * * * * * *
初テニプリ小説。
そして、初!裏小説です。
初めてにも関わらず、リョーマ受にしてしまった自分・・。苦笑
このお話は伊武戦で瞼に傷を負ったリョーマを見ていて、
その痛々しい瞼にキスをしたい衝動に駆られて思いついたお話です。
でも裏書くのって思っていた以上に恥ずかしい・・・。
しかも難しい・・・。
拙い文章ですが、読んでくださった方が楽しんでいただければ幸いです。
読んでいただきありがとうございました!!
2007.08.19