絶対に離してなんかやらない。
堕ちるときは一緒に決まってるでしょ?



   ―共犯




「・・・リョーマくん。もう・・・こうゆうの、やめにしよう・・・?」

静まり返った薄暗い部室。
漂うのは運動部特有の汗と埃の匂い。
そして相反する甘ったるい女の香り。
そのアンバランスさが麻酔のように脳内を痺れさせる。

華奢な身体を抱きしめて、白い肌に顔を埋める。
もう何度も味わい尽くした彼女。
その口からはいつもの甘い息遣いじゃなく、やけに冷めた言葉が漏れた。


「・・・それ、どういう意味?」
「・・・そのままの意味。」
「・・・理由は?」

会話の間も制服をはだけさせる手は止めない。
晒された柔らかい肌は簡単に俺を狂わせる。

「やっぱり、こんなのよくないよ。・・・手塚にだって・・・いつかバレる。」

ふいっと視線を逸らしながら告げる彼女の顎を掴んで、強引に唇を重ねる。
強張った唇を強引にこじ開けて、口内を犯す。
舌を絡めて、深く深く繋がれば
嫌がってるわりに、漏れる吐息は艶っぽくて
抱きしめた身体は熱を持ち始める。

キスひとつでこんなにイイ反応をするあんたを、俺が手放すとでも思う?

「・・・んっ・・・やっ・・・やめ・・て・・・」

身体は熱くなってるくせに、もう我慢できないくせに。
少しの理性で俺を押しのける。
理性が本能に勝てるわけないのに。

あんたをそんな風にしたのは俺なんだから。

「ふーん。そんなに、部長のことがスキなんだ?」
「・・・う・・・ん」
「じゃあ、俺のことは?」
「えっ・・・!?」
「俺のことは、キライ?」
「・・・っ、キライなわけ・・・っ!!」

「じゃあ、それでいいじゃん。」

離れた身体をもう一度引き寄せて、肌蹴た胸元に口付ける。
軽く吸い付けば、白い肌に真っ赤な花が咲く。

「やっ・・・それは付けない約束・・・」
「あんたがヘンなこと言い出すから、お仕置き。」
「ヘンなことって、そん・・なっ・・・」
「なに?」

「・・だって・・・も・・・っ・・嘘・・つきた・・く・・な・・っ・・・」


嘘?
偽り?

今さら綺麗事なんか言うな。


罪悪感?
モラル?

そんなの知るか。


―――初めて繋がった日から俺たちは共犯なんだから。


こんなに熱くして。
こんなに濡らして。
そんな声を出して。

「今さら自分だけいいコちゃんのフリしようなんて甘いよ。」

もう今さら止められない。
絶対に離してなんかやらない。
重なって、突き立てて、絡み付いて、深く交わって。


「・・・んっ・・・あぁ・・・やっ・・・あっ・・・」


堕ちるときは一緒に決まってるでしょ?
あんただけラクになんかさせないよ。


―――胸つかえてるなら、飲み込んで覚悟しな。




Fin...


*   *   *   *   *   *   *   *   *

最後のフレーズを使いたいが為に作ったお話です。
黒いリョマも大好きです。


inspiration from ケムリ [song by kj.8]

2008.08.03