in the blue sky


大切なひとが生まれた日。

ただそれだけで
しんと静まり返った朝の空気も、吐き出される白い息も、頬をなでる冷たい風も。
まぶしく輝く太陽も、くもひとつない青空も、
世界をとりまくすべてのものがいつもより輝いて見えて、
こんなにもいとおしく感じるのはなぜだろう。

冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んでから、空を見上げる。
まぶしいほどの青い空に愛しいひとの顔が重なった。

いつからかな、こんな風に空を見上げるのがクセになったのは。

どんなに遠い場所にいても、たとえ届かない距離であっても
空はどこまでも続いている。
どんな世界だってきっとこの空が見えない場所なんてない。
どんなに遠く離れていたって、ちゃんと繋がってる。
そう信じられるから。
だから、空を見上げればさみしくなんかない。

瞳を閉じれば浮かんでくる、
きみのちょっと意地悪な笑顔。
低くて甘い声。
あったかいきみの温度。
ラケットを握る指先。
コートの上でボールを追いかける姿。
夢を見据える強くてまっすぐな瞳。

いつだってあたしの中にいるきみはこんなにもリアルだ。


もう一度空を仰いで、小さくつぶやいてみる。
遠い場所にいる大好きなあのひとを想いながら___。


「誕生日おめでとう。」


この大きな空の下、きみが生まれてきてくれたことに
何万何千何億というひとがいる世界で君に出会えた奇跡に感謝を。

そして、新しいきみの一年が幸せなものであるようにと祈りを込めて。

きっとこの気持ちは、空がきみのもとへ運んでくれる。






「・・・。」


突然聴こえてきた、低くて少し甘い大好きな声。
空耳・・・?


「ねぇ、ってば。」

「・・・・ど・・して・・・。」

「アンタの声が聞こえたから、飛んできた。」

ニヤリと笑う、あたしの大好きな顔。

「う・・そ・・・。なんで・・・だって・・・」

心の中がグチャグチャでうまく言葉がつなげない。
だって、そんなことありえないと思ってた。
大好きなきみがここにいて・・・
あたしの声が・・・聴こえた・・・?


「・・・リョ・・・マ・・。」

「なに?」

「リョーマ・・・。リョーマ。リョーマっ!!」

「だから、なに?」

呆れたように笑うきみ。

「だって・・・」

「ほら、俺になんか言うことないわけ?」

あたしの気持ちなんてきっときみには全部お見通し。
伝えたいことはたったひとつ。
精一杯の想いをこめて・・・


「リョーマ・・・誕生日おめでとう。」


ふわり、と。身体中が大好きなあったかさに包まれて。
ありがとうの代わりに、耳元で囁かれる大好きな声。

「Merry Christmas!!」



12月24日。

ホワイトクリスマスなんかじゃなくていい。
夜空に輝くイルミネーションだって見られなくていい。
サンタクロースからのプレゼントも、いらない。



まぶしい青空の下、大好きなきみがいる。
最高のクリスマス。


出逢えた奇跡に最上級の感謝を―――。



Merry Christmas,Happy Birthday

and

I love you...






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2007.12.24