たとえば。
あなたの好きな生クリームたっぷりのイチゴのケーキのような甘い言葉なんていらない。


 ―Sweet Sweet Darlin'


「銀さん、好きよ。」

あたしがそう言うと、いつもふっと目を細めて髪を撫でてくれる。
その手がその顔が愛しくてたまらない。

そのまま、銀さんの顔が近づいて来て
恥ずかしくて瞼を閉じると優しい口づけが降ってくる。
唇、頬、瞼。

心の奥の柔らかい場所をギュッと掴まれたみたいに苦しい。
喉がつまったみたいな感覚に襲われる。
ドクンドクンと心臓が脈を打つ速度が速くなる。
胸の奥の奥の方がもどかしい。

苦しさに耐え兼ねて薄く瞳を開くと、銀さんの顔が目の前にあって
また、いつものあの顔でふっと目を細めて髪をなででくれる。

どうしよう。
もう、愛しくて愛しすぎて苦しい。

「なに、そんな顔して。誘ってんの?」

耳元で銀さんの囁く声。
身体中がぞくっと震える。
低くて艶っぽい、世界で一番大好きな声。


たまらなくなって瞼を閉じると
それが合図とばかりに、触れるだけだった優しいキスが深い口づけへと変わる。
銀さんの舌があたしの舌を絡めとる。
苦しくて息を漏らそうとしても憚られる。
頭の芯が痺れる。
絡みつく蜂蜜みたいな甘い甘いキス。


「・・・んっ・・。」

もぞもぞと胸のあたりに温かい手の感触。
気がつけばソファに組み敷かれて、着物をはだけさせられていた。

銀さんの手が胸に触れるだけで心臓が飛び跳ねそうになる。
もぞもぞと手が動けば、心の震えが吐息となって漏れる。
下腹部が疼く。

「・・・っ・・!?」

首元に銀さんのやわらかいふわふわの髪の感触が落ちたかと思うと、すぐに小さな痛みを感じた。
白い胸元に赤い跡が咲く。
銀さんのモノだというシルシ。

愛しさで心臓が爆発してしまうんじゃないかと思った。
どうしてこんなにも好きなんだろう。
どうしてこんなにも愛しいのだろう。


「・・・ひゃっ・・・!!」

内股を擦っていた銀さんの右手が、下着越しに一番敏感な場所へと触れる。
突然のことに高い声をあげてしまった。


「お前・・・もうビショビショじゃねぇか。」

そう言うと一気に下着を抜き取られ、長い指で数回擦られると
ふいに生暖かい舌の感触があたしを襲う。

「・・・んっ・・・やっ・・・あっ・・・」

何も考えられないくらいに頭の奥が痺れて、意識が飛びそうになる。

「すっげ・・溢れてくる。」
「・・ふっ・・やぁっ・・そんなとこで・・・しゃべんない・・でっ・・。」
「生クリームより甘いぜ、のココ。」

ピチャピチャと水音が部屋中に響く。
思考回路がショートする。
下腹部が熱くなる。
もう・・・もう・・・

「ぎん・・さ・・・、・・もう・・っ」

その言葉に、銀さんはニヤリと笑って。
一気にあたしを貫いた。


「・・んっ・・・ふっ・・あっ・・っ・・んっ・・」

五感全部で銀さんを感じる。
ひとつになれたうれしさで、涙が滲む。
細胞のひとつひとつまでが叫び出しそうだ。

何よりも、誰よりも、あなたが愛しい。


「・・ぎん・・さん・・っ・・、すき・・・。」

たまらなくて、言葉にする。

薄く瞼を開くと、あたしの上で銀さんが目を細めていた。
あたしの大好きな、あの顔。
甘い言葉なんていらない。
そうやって大切なものを見るみたいに、あたしに笑いかけてくれればそれでいいの。
他には何もいらない。


甘い痺れが全身を襲う。
腰の動きが速くなる。
銀さんの指があたしの指に絡まる。
限界が近い。


「・・んっ・・ふっ・・・やっ・・・あっ・・・あぁっ・・ぎん・・さ・・んっ・・・。」
「・・・くっ・・・。」

愛しさが全身を駆け巡る。
ふたり一緒に真っ白な世界に放り出された。


・・・。」
「・・・ん?」
「なんで泣いてんの?」

はぁはぁと肩で息をしながら、不思議そうにあたしの顔を覗き込む。
そんな銀さんを力いっぱい抱きしめた。


「銀さんが好きだからだよ。」

銀さんの匂いにつつまれて、幸福感が身体中を支配する。
甘い甘い、あなたの匂い。
他にはもうなにもいらない。



たとえば。
あなたの好きな生クリームたっぷりのイチゴのケーキみたいな甘い言葉なんていらない。

あなたが隣にいてくれればそれでいい。




Fin...



*   *   *   *   *   *   *   *   *

Happy Birthday Dear Gintoki...

2007.10.10