その手で
その唇で
もっとあたしに触れて。
―touch me, kiss me
[好き]だとか[愛してる]だとか
滅多に口にしないリョーマ。
ラケットを握ると目の前の敵を倒すことしか見えなくなって
まるで知らない人みたいに
きっとあたしのことなんて頭の片隅にすらなくなってしまうリョーマ。
テニスのことになると
リョーマの大きな瞳はいつもあたしの知らない世界を見据えてる。
「・・・リョ・・マ・・っ」
それでも不安にならないでいられるのは
「・・・んっ・・あっ・・」
いつもはラケットを握るためにあるその手が
こうやってあたしに優しく触れるから。
「・・ふっ・・あ・・・」
いつもは生意気なセリフばかり吐くその唇が
こうやってあたしに優しく触れるから。
「・・・や・・あ・・んっ・・。」
触れたその手から、
その唇から、
言葉なんかなくたって伝わってくるリョーマの気持ち。
「・・リョーマぁ・・」
だから求める。
きみの名前を呼んで
縋るように手を伸ばして
「・・んっ・・リョ・・マっ・・」
ジンジンと甘く痺れる意識の中で
もっと、もっと。って
リョーマを求める。
「・・やっ・・・リョ・・マぁ・・」
愛されている実感。
「・・・ん・・やっ・・・あ・・あぁっ・・・リョ・・っ」
もっと、もっと。
その手であたしに触れて。
その唇でキスの雨を降らせて。
「・・あっ・・・ん・・・や・・。
・・あぁっ・・ん・・あぁっ・・あぁぁっ・・・・・っ・・
・・・リョーマ・・・ぁっ」
もっと、もっと...。
「・・くっ・・・・・・っ」
強く激しく抱きしめられながら、耳元でやっと小さく囁かれた名前。
真っ白に弾けた世界に意識を放り出されながら、愛しさが全身を駆け巡った。
「・・・リョーマ。」
隣で眠るリョーマの顔を覗き込みながら、こみ上げてくるこの想いを言葉にする。
「・・・大好き。」
眠っていたはずのリョーマがふいにその大きな瞳を開いて
何をいまさら、と、いつもの生意気な笑顔を浮かべながら
「そんなの・・・知ってる。」
やさしいキスをくれた。
その手が、
その唇が、
やさしくあたしに触れるから
だから、きみをもっと好きになる。
fin...
* * * * * * * * *
・・・短っ。
果たしてこんなのを小説と言ってしまってもいいのか、SSと言うにも短すぎる気がしますが。
てか、詩?
ま、いっか。所詮自己満ですから。苦笑
リョーマってきっと彼女に対して「好き」とか言葉にして言わないタイプだと思うんです。
態度とか言葉もぶっきらぼうだし、「テニス」という大きな核を自分の中に持っているから
一人でだって生きていけるように見える。
女の子からすると本当に愛されているのか不安になってしまうんだけど。
だけど、その分すごく優しいスキンシップをしてくれたら
それだけですっごいすっごいしあわせを感じられるんじゃないかなぁと。
普段クールな分、なおさら愛を感じると言うか。
そういう女の子の気持ちを描きたくて書いてみたお話です。
クールなリョーマのやさしい手つき。・・・萌えです。笑
ま、反対にドSリョマも萌えなんですけど。笑
ちなみにこのお話は[call my name]のヒロインSide的な感じになっています。
書き始める前はそんなつもりは全然なく、
書いていくうちに文章の雰囲気が似てきたのでいっそのことリンクさせてしまえーとなったのですが。
こうゆうのもおもしろいかもしれない。
もちろん単体でも全然読めるようにしたつもりです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございましたっ!
2007.09.12